プロジェクト概要

この度、SMARTコンソーシアムを発足いたしました。脊髄性筋萎縮症は、その発症年齢も症状も幅広く、様々な面で細やかなケアを必要とする病気のひとつです。治療、療育、教育や就労に関する福祉的なサポートなど、解決するべき問題はたくさんあります。2009年に、特定疾患治療研究事業の対象疾患に指定されたことにより、社会的な補助体制は整いつつあります。現在、世界各国で治療研究がすすめられており、根本的治療法の解明にも明るい兆しが感じられるようになりました。日本でも、厚生労働省の支援のもと、国内の複数の施設が共同して治療研究を開始します。バルプロ酸ナトリウムという薬剤をはじめとして、効果を期待できるいくつかの薬剤についても治療研究をすすめていく予定です。患者さんの年齢、型により、使うことのできる薬剤は異なりますが、それぞれの方に最も適切な治療法をご提案できるよう、一同努力してまいります。現在、稼働しているSMA患者登録システムも継続していきますので、治療研究にご賛同いただける方にはご協力お願い申し上げます。患者さんとそのご家族、行政関連の方々、医療施設の職員、皆で協力して、SMAの根本治療達成という目標に向かって進んでいきましょう。


治療研究とは?

「くすり」は、病気に対して効果があり、使用しても安全であることが重要です。「くすり」の開発の最終段階として、健康な人や患者さんの協力により、効果と安全性を調べることがなされます。そこで得られた成績を国が審査して、病気の治療に必要であり、かつ安全に使用できると承認されたものが「くすり」として診療の現場で処方され、使用されます。
 人を対象として行われる研究は「臨床研究」と言いますが、「くすり」を用いて国の承認を得るための成績を集める臨床研究は「治験」と呼ばれています。製薬企業が行う治験を「企業治験」といいます。治験はお金がかかり、市場が大きくないために売り上げが見込めない「くすり」の治験は企業が積極的ではありません。製薬企業が手がけないような、または、目や手が行き届かないような、新しい適応症、用法、容量を探る手段として「医師主導治験」があります。「医師主導治験」は、医師および医療機関が主体の高度な臨床研究です。